imterlawの日記

郊外にぽつんと立った豪華な屋敷

「雑記」って書き殴る事柄に一貫性が無く「雑」なだけで、書く文章そのものが雑になった時それはもう「ゴミ」だよね

「お前、トゲ刺しマンドラだよな」友人の言葉だ。いや、友人「だった」というべきか。

「トゲ刺しマンドラ」とは私がかつて嗜んでいたカードゲーム、ええと名前は何と言ったか、デュエルモンスターかマスターか何か、どちらでもいいがそのカードゲームに存在するカードの一枚だ。

 揚げ物好きで揚げ足取りの論い野郎はここで、「マスターかモンスターかの違いがどうでもいいわけないだろう。支配者と被支配者の厳然たる差がそこにあるではないか。貴様は階級闘争から目を背けるのか」と茶々を入れてくるに違いない。私は揚げ物は好きだが揚げ足取りは嫌いなので、こういった不遜な輩は殴り倒して黙らせることにしている。画面の向こうの貴方も今、画面から飛び出て来た私の「腕」を喰らって10mほど吹っ飛び、血だらけになったに違いない。いい気味だ。

 

トゲ刺しマンドラは弱い、実に弱いカードだ。唯弱いだけならまだ許せるが、このカードは弱いくせにキラキラだ。レアカードを気取っているのだ。「レアなくせに弱いカードなんて古今東西いくらでもある。そんなことをいちいち気にしてたらカードゲームなんて出来ない」そう思われるかもしれない。だが待て、このカードにはまだ話していない、最大の「罪」があるのだ。

「トゲ刺しマンドラ」は第一弾の構築済みデッキに入っている。新しいカードゲームを初めてやろうとする純朴、無邪気、天真爛漫の三拍子そろった少年(一拍子だ)、彼が大事な小遣いをはたいて買ったカード達、期待とともに箱を開けカードを手に取り、その目に入る初めてのカード、それがこの「トゲ刺しマンドラ」だ。つかまされたゴミである。

 

「お前、トゲ刺しマンドラだな」というのは言い換えれば「お前、つまらない人間の癖に外面着飾って、よくも呼んでもないのに俺の前に姿を見せてくれたな。金返せ」となるだろう。言葉に出来ない罵詈雑言を詰め込んだパンドラボックス、最後に残った希望すら入ってない代物だ。「余りにも酷い。これほど棘のある言葉はない。これでは私はトゲ刺しマンドラではなく、トゲ刺されマンドラではないか」、私は精一杯の反論を試みるが、友人だった男は悪辣さを糊で固めた様な笑みを崩さない。実は私と彼の友情が壊れたのは、このトゲ刺しマンドラ呼ばわりが原因ではない。その次の彼の言、それを私は許せなかったのだ。

 「なにせ俺はガトリング・ワイバーンだからな」、そう彼は言い放った。何たる傲慢!、何たる倨傲!。

 意図的に隠していた最後の事実がここにある。実は第一弾デッキに入っている1枚のレアカード、それはトゲ刺しマンドラだけではなかったのだ。ランダム封入のレアカードは二種類あった。トゲ刺しマンドラと対をなすもう一枚のカード、それがこのガトリングワイバーンだ。 このガトリング・ワイバーンは強い、中々に強かった。それこそトゲ刺しマンドラなんて目じゃない程に。ガトリング・ワイバーンが言わば「当たり」でトゲ刺しマンドラはハズレだ。トゲ刺しマンドラがゴミの様に扱われる一方で、ガトリング・ワイバーンは持て囃された。

 彼のガトリング・ワイバーンの自称をもって私へのトゲ刺しマンドラ呼ばわりはもう一つの意味を持つ。彼と私の間には埋めがたい絶対的な差が、溝が存在するのだと。

 その後彼とは一度も話すことはなかった。何故なら、彼が私を侮蔑した刹那、怒り狂った私は自らの姿をトゲ刺しマンドラへと変え、彼を身に纏う棘で串刺しにしたからだ。彼の言葉は正しかった。そう、私は本当にトゲ刺しマンドラだったのだ。

私は今、数本の腕とそれに付いたトゲでこれをタイピングしている。本当はガトリング・ワイバーンではなかった彼は今、私の能力で墓地から回収されマナゾーンで生きている。