imterlawの日記

郊外にぽつんと立った豪華な屋敷

回文、分解②

「隣の客はよく柿食う客だ」、端的に言って非常にヤバい。

隣の家の様子を覗いて監視している、完全にストーカー。隣の家の様子を塀の向こうからに覗き見、そして見つける柿食う客。目線の先にいる人が隣の家の「家族」ではなく、「客」だと認識しているってことで、隣の家の家族関係すらも把握済み。

秋も深まる柿のシーズン、外に出るのもそろそろ億劫になるころ、何をやっているかと思えば、寒空の下隣の家の監視、柿ウォッチング。

これはやばい、底知れぬ執着心を感じる。「よく」柿食う、と分かるってことはどういう事かっていうと、こいつ、結構長い時間監視し続けている。隣の客が柿を食い続けているのを食い入るように見るストーカー。

「よく柿食う客だ」、この一文には明らかに侮蔑、そこまでいかないにしろマイナスの意図が込められている。隣の家を覗き見して、柿を食ってる客にぶつくさと文句をつけた、それが「隣の客はよく柿食う客だ」なのだ。

 

いやいや、待ってほしい。別に柿を食べてもいいのではないか、客なのに遠慮がないのがいただけないけど、ストーカーにそれを言う権利はない。ここで問題になるのは「よく柿食う」ではない、「隣の客が」食べていることなのだ。

隣の客を覗き見するストーカー、こいつは実は隣の家の御嬢さんに恋をしている。だからこうやって隣の家を覗き、ストーカーまがいのことをしているのだ。

そしてこの客、何を隠そう彼こそが御嬢さんの恋人だ。そりゃ憎いわ。やることなすことすべて頭にくる。自分がこうして寒空の下、庭から隣の家を覗いている間、この憎き恋人は御嬢さんの家に上がり、遠慮もせずにおこたに入って柿をぱくぱく食べている。憎い、憎すぎる。家に上がっているということはもう両親公認の仲ってことで、どう転んでもストーカーのこいつには勝ち目はない。その恨めしさ、憧れ、そして寒さに震える中、思わず口から出てしまったのがこの言葉、「隣の客はよく柿食う客だ」。

 

今後、「隣の客はよく柿食う客だ」などと言い出す奴が現れようものなら、そいつは気持ち悪いストーカーだ。早く警察に通報するべきだ。

ここまで書いて気づいたんだけど、「隣の客はよく柿食う客だ」って回文じゃなくて、早口言葉じゃん。でも暖かいこたつの中、柿を口一杯に頬張っている俺にとって、そんなことはどうでもいいことなのだ。