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imterlawの日記

郊外にぽつんと立った豪華な屋敷

【レビュー】いけにえと雪のセツナ(PS4版)

 先日発売されたスクウェア・エニックス(以下スクエニ)の新作RPG

「いけにえと雪のセツナ」をクリアした。このゲームは「あの頃のRPGを取り戻す」を表題に、古き良きRPGを踏襲した形で新しいRPG作品を作ることを目的として、スクエニ内部で作られたスタジオであるtokyoRPGfactoryが制作を担当した。

 

ゲーム自身の紹介はここまでに、このゲームを一言で評価するならば、

「買ってよかった、非常に満足したが、人にお勧めするかどうかは迷う」ゲームだった。

 

ここではストーリーと戦闘などのシステム面の二つに分けて大きなネタバレを避けつつレビューを行う。ストーリーのネタバレを含む既プレイ者前提の記事は別に書くつもりである。

 

 

 

・ストーリー

 雪に閉ざされた極寒の島。魔物被害に悩まされるその土地には、古来よりいけにえを捧げて魔物を鎮める風習が伝わっていた。

 しかし近年、魔物の動きが活発になり、人々は次の儀式の年を待たずしていけにえを捧げることを決める。

 ……選ばれた少女の名は、セツナ。彼女は護送団とともに、儀式の行われる“最果ての地”へと旅立つ――

電撃 - とりもどそう、ぼくたちのRPG。スクエニ×TRFが『いけにえと雪のセツナ』を作った理由  より引用)

 

ストーリーの導入としては完璧。魔物に悩まされる村々、生贄の風習、生贄に選ばれた少女、心躍る素敵なワードがちりばめられている。このゲームの目的は、生贄であるセツナを、儀式の行われる最果ての地へと送り届けることであり、「旅の目的が死である」と明確に定められているところがよい。

しかし雪国の物悲しい雰囲気、旅の目的の悲壮さそういった雰囲気がずっと続くのかと思いきや、案外ストーリの序盤から仲間が加入し、中盤以降はイベントでの和気あいあいとした掛け合いが見られ、よくあるRPGのようなパーティ編成になってしまったのは個人的にはあまり好きではなかった。「護送隊」という設定上一定の人数はほしいかなと思うが、仲間の数が多すぎるというのが率直な感想になる。

仲間がいるおかげで思ったより̪旅の「悲壮さ」みたいなものが描かれなかった(かといってカジュアルすぎるわけでもなくいい塩梅であるとは思うが)ともいえるだろう。

 オープニングとエンディング、これは何よりもよかった。このゲームをやる価値は私はこのオープニングとエンディングにあると思う。その点でこのゲームの私の中での評価は非常に高い。このゲームに払った金のすべてはそこに集約されている。

 

・システム

戦闘にかかわるシステム自体はかなり評価している。シンボルエンカウントでシームレスに戦闘に移行、FF4のようにATBを採用し、ターン制ではなく、ゲージのたまったキャラから行動を選択可能になるという戦闘形式を採用している。またそれに加え、ATBゲージの横にもう一つゲージを追加し、そのゲージがたまった状態で行動をする際にタイミングよく□ボタンを押すとゲージを消費して行動が強化される(攻撃の威力上昇、追加効果で回復する)といった刹那システムを導入、刹那ゲージは3本までためられ、ATBゲージがたまった後に待機することや、攻撃を受けることなどでたまるため、刹那ゲージを使うために意図的に攻撃を遅らせたりする戦略性が生まれる。

また魔法強化システムである昇華は、刹那ゲージを利用して魔法を打つと、装備したアクセサリに応じて戦闘終了時に一定確率でその魔法自体が強化される(消費MP削減、威力増強)という効果があり、これによるカスタム性も高い。

特定の技を装備させた際に使用可能なキャラ同士の連携技も多数存在し、二人、または三人同時にATBゲージを消費するものの絶大な威力を発揮することができる。

ここまではいいが、欠点も多い。

○魔法入手の手段

魔法(このゲームでは剣技等の技も魔法と同じカテゴリ)を使うにはその魔法に対応した「法石」と呼ばれるアイテムを入手、キャラごとのスロットに装備させる必要があるのだが、法石入手が面倒である。

というのも敵がドロップする素材との交換(と宝箱)以外で法石が入手できないからである。それだけならまだよいが、このゲーム敵がドロップする素材は通常ドロップ、レアドロップ以外に「対応属性でとどめを刺す」、「刹那ゲージを利用した攻撃でとどめを刺す」、「敵の体力をほぼぴったりのダメージを与えて倒す」、「デバフをかけて倒す」、「オーバーキルする」といった殺し方によってドロップする素材が異なるため、大量の素材が存在し、ほしい魔法があってもそれに対応する素材がないという事態が多く発生する。

法石との交換に必要な素材はすべてオープンされているが、その素材をどの敵がどの殺し方によって落とすのかのヒントがない。頼みの綱のモンスター図鑑も今まで入手したことのある素材しか見れず、未入手の素材を手に入れる役に立たない。結局ほとんどの法石を入手できないまま終わった。

特に後半に加入するキャラほどその傾向が強い。結局法石がないと特技が使えず使用する意味がないのにもかかわらず、後半のキャラの法石は全然作れない(これは私が素材集めをサボっていたためなのかもしれないが)、それならば序盤からいてそれなりに法石がそろっているキャラを使うほうがマシということで後半加入の2キャラは全く使わなかった。道中でファイガの法石を拾っていたから魔法使いキャラも使ったが、これを拾い損ねたらこの魔法使いキャラも使わなかっただろう。

○大味なゲームバランス

一部の連携技が強すぎる。ゲーム中盤で手に入る(私でも法石が手に入るくらい素材が楽)ショックと挑発という二つの技を組み合わせて使用できる連携技「ブロウビート」これが強すぎた。全体ダメージの上にまさかの麻痺スタン混乱の状態異常が同時に発動する。まず雑魚はこの連携で一発な程度に威力が高いうえ(攻撃力依存で威力が上がる物理攻撃らしくラスダンまで平気で通用する)に、殺し損ねにも状態異常が入っているため楽々処理できる。中盤以降この技以外を雑魚に使うことはほぼなかった(ファイガを重ねうちしておくのはあったが)

とにかくブロウビート、ブロウビートは一部のボスにも効くために、中盤以降は困ったらブロウビートを打っていた(終盤のボスには効かなかったので打つのをやめた)。たぶん一部のボスは強力な攻撃をしてくるために状態異常のからめ手で対策しろという開発側のメッセージだろうが、状態異常技を使うかどうかで難易度が違いすぎる。

このゲームは「逃げる」コマンドがなく、逃げたい際には100%成功の逃走アイテムを使うしかないのだが、逃げるよりブロウビートで殴ったほうが早いため、基本的に逃げる必要はない。一方でたまに雑魚敵のシンボルに紛れ、異常に強い異名モンスター(BGMも変わる)がいるため、この逃走用アイテムは必須である。強モンスター、どれくらい強いかというと普通にストーリーを攻略している最中に接触すると間違いなく嬲り殺される(私は殺された)。全滅即セーブポイント巻き戻しなので、危険すぎる。世界樹アリアドネの糸並みに忘れた瞬間の絶望感が強い。

ブロウビートは剣士系のキャラ二人の連携であるため、MP消費が結構重く雑魚敵で連発するとすぐにMP枯渇するのだが、このゲームはMP回復のエーテルが店売り、かつお金稼ぎが楽なため基本的にMP枯渇はない。エーテル店売りのおかげでボス戦でのMP確保を気にすることなく魔法を一切の躊躇なく打ち続けられる。そもそもボス戦前セーブポイントではテントが使えてHPMP全快できるためそれ以前の問題であるが。

エーテル買い忘れた中盤はかなりきつかったので、店売りエーテルを縛るプレイングもありなのかもしれない。しかしこのゲームはレベルアップでステータス全快、かつ道中にも結構エーテルが落ちているゲームなのでそこまで厳しくはないかも。

あとカウンターが強い。カウンターはお約束の通り物理攻撃を無効化し、物理攻撃を受けた際に攻撃を返す技なのだが、このゲームのカウンターは物理攻撃完全無効、かつ次の行動を選ぶまで永続という意味不明な効果になっている。つまりどういうことかというと、一部の物理攻撃以外使わないボスはカウンターを押してあとは放置するだけで勝手に勝てる。一回反射したら解除かと思って雑魚技扱いしていたが、とんでもない強技だった。

逆に補助呪文の影が薄い。プロテスやスクルト扱いのプロテクトは使ってもいつの間にか効果が切れててよくわからないし、ほかにもある防御魔法は効果がわからない上に使わなくても勝てるから使うのをやめた。

時魔法をつかえるクオンというキャラが仲間にいるのだが、そもそもヘイストやストップという時魔法を必要とする相手がほとんどいないのであまり使わなかった。しかしクオンを含む3人連携技が強いらしい。

一方で「叫ぶ」という1ターンだけ強力なバフを全体にかける呪文があるが、これは結構使った。ボス相手にラッシュを叩き込む際には効果的だろう。

補助魔法はもともと作用時間が短いわりに効果がつかみにくいものが多く(そもそも対象となる法石を持っていないためほとんどの補助魔法は未使用)、効果がわかりやすい「さけぶ」ばかりを使った。

FFでおなじみの状態異常回復のエスナがそもそも法石が手に入らなかったため一度も使うことがなかったのが印象的だった。主人公が使える謎の回復魔法オーラ(中盤まで全快なうえに刹那ゲージで強化すると状態異常完全回復効果も付与)、とストップすら解除する万能薬で完全にまかなえてしまった。

魔法が大量にあるもののそのほとんどが通常プレイで使われないまま終わるということで、非常にもったいない。

 

とにかく面白そうな要素が大量に詰まっているのにほとんどが使われないまま終わる(先述の昇華システムも正直理解していないままゲームが終わった)。

戦闘中に一定確率で場全体にランダムな効果を及ぼすシンギュラリティという現象が発動することがあるが、この中に「30秒間、攻撃の属性が強制的に全属性となる。属性耐性が全ての耐性の中で一番高い数値になる。」という説明の属性インフレという状態があるが、これが発動した瞬間になぜか知らないが敵の属性攻撃が完全に無効化される。どの属性の敵でも無効化されるのが意味が分からない。こちらの攻撃は全属性扱いで敵の弱点を必ずつける一方で敵の魔法を完全に無効化するため、ボス戦でこれが偶然発動した瞬間勝利がほぼ確定する。

 

○ダンジョン

ダンジョンのパターンが少なすぎる。森、雪山、遺跡、ラスダンの4パターンしかない(はず)。遺跡マップは特に出てくる回数が多く、私のカウントが間違ってなければ3回はこの遺跡マップの使いまわしが出てきている。予算の都合なのかもしれないが、せめて使いまわしはやめてほしかった。

・まとめ

 

「いけにえと雪のセツナ」はストーリーはよかったものの、肝心の戦闘面がいまいち。

「古きよきRPG」を取り戻したいならばもう少し戦闘面とかで気を遣ってほしかった。

プレイ時間は短め(2日でクリア)なため、土日で一気にクリアするということも可能で、王道RPGをどっしり腰を据えてやるというよりはもう少しカジュアルな感じのゲーム。難易度は特定の連携技の強さに気づくと途端にぬるくなるが、それがないと中盤以降結構難しく、ボス戦での全滅は普通に起きる。

 

オープニングとエンディングの雰囲気は最高で、買ってよかった。

 

とにかく雰囲気ゲーで、全編ピアノのBGMとは強くマッチしていた。