imterlawの日記

郊外にぽつんと立った豪華な屋敷

感想:SCARLET NEXUS(PS5) 面白いが、惜しい

SCARLET NEXUS(PS5)

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スカーレットネクサスをクリアした。

超「脳」力を使い、人類に襲いかかる怪異に対抗する怪伐軍の新入隊員として、

戦いに身を投じていく。的なゲーム。

 

面白い戦闘だが、パターンが少ない

面白さ

超能力を利用して、マップに落ちてる岩や自販機や車のようなオブジェクトを遠隔操作する遠距離攻撃、普通にボタン連打で打てる通常攻撃、仲間の力を借受け一時的にパイロキネシスクレヤボヤンスを使えるようになるSAS、これらを組み合わせてうまいこと戦っていく、という戦闘のテンポ感が優れている。ここは唯一無二の面白さだと思う。

 

カットインやスローモーが不快にならない程度にうまく散りばめられてて緩急つけた絵になってて、プレイしてるテンポ感は楽しい。

とはいえ、敵のスタミナを削りきったときの特殊キルのブレインクラッシュのモーションは結構テンポが悪く、ここだけもう少し短くして欲しい。

 

R2で物体操作しながら通常攻撃しつつ、対応する8種類の仲間のスキルを切り替えるのは結構面白い。複雑すぎず、簡単すぎない、オリジナリティある戦闘メカニクス

 

よくないところ

敵のパターンが極めて少ない。数えてないが雑魚敵は10種にも満たない敵のコンパチが出てくるだけで、後半になってくるとそもそもの戦闘に飽きが来る。

先述した特殊キルも、敵のパターンが変わらない中で同じキルを見続けることになるので、「飽き」が激しい。

 

ダンジョンが一本道で変わるのは見た目のみ、

その中で敵を倒さないと先に進めない雑魚戦を繰り返しで最後にボス、という構造を最後まで繰り返すので、その根幹となる戦闘に飽きがくるのが惜しい。

 

ラスダンがこの一本道の集大成として、令和のゲームで見たことないような異常な長さをしており、その中で避け難い雑魚戦をひたすらに繰り返すというのがキツかった。

 

メカニクス自体は面白いので、パターンがもう少し多ければ良かったのかもしれない。

 

チグハグだが、なんとか着地したストーリー

よくないところ

ストーリはかなりチグハグ。ネタバレになるのであまり言わないが、序盤から結構怪しい。製作者の考えるストーリーの「ヤマ」みたいな要素が短い間に繰り返され、記号化されたサブキャラの死に対して、いまいち乗り切れないプレイヤーが置いてかれる展開になってしまう。

 

置いていかれたまま突入する中盤でも理由の不明なまま仲間同士の争いに巻き込まれるのも厳しい。

 

異能集団の群像劇的な描き方をしたい、という製作者の意図とそれに合わせた風呂敷の広げ方が、開発期間/工数にあってないんじゃないかと思う。

端的にまとめると、仲間同士が二つの勢力に分かれて争うという展開優先で

そこに至るまでの説得力の描き方や、別れる前の日常のシーンが足りてない。

 

国家の闇、腐敗みたいなのを描きたいという要請に対して、設定は色々用意されたもののほぼ使われずに、設定だけ語って投げ捨てる、みたいなのも多く、もう少し物語をスリムにした方が、ピントが合って良かったかなぁと思う。

 

よかったところ

とはいえ最後の方にはなんとかあるべきところに着地できていて、ストーリー全体としてダメかというとそうではない。マイナスポイントだがギリギリセーフ。

ラスダン手前からエンディングあたりまでは、ストーリーに大きな破綻とかもなく

ちゃんと「終われた」という印象があって良い。

個人的にはどれだけ道中が破綻しても、ちゃんとエンディングを完璧にこなせば良いと思ってて、その点では特に不満なく終えれた。

 

魅力的なキャラだが・・・

良いところ

キャラデザインは無茶苦茶優れてて、それらが動く3Dモデルの出来もいい。

イベントシーンは工数の都合からか、フルムービーではなく、紙芝居の中にムービーを織り交ぜていくスタイルだが、それでもちゃんと魅力的に描けている。

 

ダメなところ

キャラの掘り下げが渋い。キャラごとに用意されたサブクエはあるが、量もそんなに多くはない。

ストーリー上で敵対組織に分かれた仲間キャラとのサブクエがよくない。

「今の微妙な関係は置いておいて、ファミレスでお茶飲もう」

というメールから始まるのが、シリアスな本編から完全に浮いてる。

 

さっきまで殺し合いしてた相手から突然送られてくるメールには思えない。

これが主人公たちが傭兵的な組織ならば理解できるが、曲がりなりにも国防軍として組織立てられた集団と反乱軍的な組織の一員がファミレスでお茶、というのは普通におかしい。このせいで中盤のストーリーが茶番にしか見えなかった。

 

まとめ

いろいろ不満はあるが、おそらく開発工数や予算がかなりシビアだったんだと思う。

限られた工数をいかに分配するか、という観点において

戦闘メカニクスを面白くしよう、キャラデザを魅力的にしよう、と試みた製作者の誠実さが強く伝わってくる。

戦闘が推しポイントなので、ここが最後まで飽きないようにもう一段階くらい工夫、

もしくは雑魚敵のパターンがあれば良かったのかもしれない。